BUSINESS── ARTICLE 003── ── 13 MIN READ

AIチャットの次は「AIキャンバス」へ。企業価値3,000億円超のデザインAI「Lovart」を使い倒し、公式体験会にも潜入してきた

撮影なしの広告動画、VTuberの三面図、映画のようなポスター。全部、デザインAI「Lovart」で作りました。公開から5か月で利用者1,000万人を超え、企業価値3,000億円超まで駆け上がったLovartを編集長が使い倒し、ByteDanceの研究チームも登壇した公式ハンズオン体験会にも参加。何がすごいのか、なぜ今なのかを、作例と体験会レポートで伝えます。

「世界初のデザインAI Lovart 使い倒してみた!」の文字と、驚いた表情の筆者、Lovartで作ったReFUEL、VTuber三面図、DATA WORLDポスター
撮影なし、モデルなし、カメラマンなし。この15秒の広告動画、AIで作りました。
架空のスポーツドリンク「ReFUEL」の広告動画。商品の企画、ボトルのデザイン、映像まで、すべてLovartの中で作りました。

商品そのものも架空です。「こんなドリンクがあったらいいな」という思いつきから、ブランド名、ボトルのデザイン、3つの味、そしてこの広告動画まで。全部、一つのAIの画面の中で作っています。

ほかにも、こんなものを作りました。

Lovartの公開スキルで一発で出たVTuberキャラクターの三面図

Pinterestの参考画像から生成したDATA WORLDの映画風ポスター

左はVTuberの三面図。正面・側面・背面で、髪型も衣装もきちんとそろっています。右は、DATA WORLDの映画風ポスター。どちらも、チャットで頼んでほぼ一発で出てきたものです。

使ったのは、デザインAIのLovart(ラブアート)。チャットで頼むだけで、ここまで出てきます。

公開5か月で1,000万人。世界で急成長するデザインAI

日本ではまだ知る人ぞ知る存在ですが、世界での伸び方はすごいことになっています。

一般公開前のテスト段階で、すでに70か国・80万人が利用。2025年7月に一般公開されると、12月には利用者が1,000万人を突破し、年間の売上規模(ARR)は8,000万ドル(約115億円)に達しました。いまの公式サイトには「世界中の3,000万人のマーケター、ビジネスオーナー、クリエイターに信頼されています」とあります。

お金の集まり方も桁違いです。開発元の演語科技(Evoken)は2026年6月、テンセントなどから約3億ドル(約490億円)を調達しました(21世紀経済報道、36Kr Japan)。8月には、香港での上場に向けた初期協議に入ったとBloombergが報じています(観察者網)。

作ったのは、TikTokを運営するByteDanceで、動画編集アプリ「CapCut」の世界展開の収益化を率いていた陳冕(チェン・ミエン)氏です(Fortune China)。誰でもスマホで動画を編集できるようにしたアプリの、ど真ん中にいた人。その人が次に選んだのが「デザイン」でした。

Lovartのロゴ
WHAT IS

Lovartラブアート

チャットで相談しながら、画像・動画・参考資料を一枚のキャンバスで育てるAIデザインエージェント

「世界初のデザインエージェント」── Lovart公式サイトの紹介文

  1. 2025.07一般公開テスト段階で70か国・80万人。チャットとキャンバスを合わせた画面で登場
  2. 2025.11日本上陸GoogleのNano Banana Proの搭載とあわせて、日本での本格始動を発表
  3. 2025.121,000万人を突破年間売上規模は8,000万ドルに
  4. 2026.06約3億ドルを調達企業価値は20億ドル超に
  5. NOW日本で公式ハンズオン2026年8月、ByteDanceの研究チームも登壇。大型アップデートも続々

チャットで「こんな商品のビジュアルを作りたい」と相談すると、AIが案を考え、画像や動画を作り、横に広がる一枚のキャンバスへ並べていきます。案を比べる、一部だけ直す、動画にする、PSDで書き出す。企画から仕上げまでが同じ画面で続きます。

画像や動画を作るAIは、OpenAIの「GPT Image 2」、Googleの「Nano Banana Pro」「Veo 3.1」、ByteDanceの「Seedance」「Seedream」、Midjourneyなど、世界のトップクラスをまとめて使えます。作りたいものに合わせてLovartが選んでくれるので、どのAIが得意かを知らなくても大丈夫です(Lovart公式)。

EDITOR'S VERDICT

4つの制作と体験会を終えた、編集長のひとこと

企画会議が、まるごと一枚のキャンバスに載った。

思いついてから、人に見せて相談できる形になるまでの速さが、これまで触ってきたどのツールとも別物でした。体験会で一連の流れを触ったときには、「クリエイティブ制作の流れそのものが、Lovartに置き換わるかもしれない」とまで感じました。

特に刺さるのはこんな人
  • 商品やキャンペーンの企画を、その日のうちに形にして見せたい人
  • バナー・SNS・動画など、同じ商品で素材を何種類も作るチーム
  • 参考画像を集めながらアイデアを練るのが好きな人
REVIEW

使い倒してみた。4つの作品ができるまで

TRIAL01トレーニング前に飲みたくなる新商品を考える

架空のスポーツドリンクが、20分で「提案できる商品」に

最近ジムに通っていて、「水分補給、タンパク質、ビタミンを一度に取れて、運動前に買いたくなる飲み物があれば便利なのに」と思いついたのが始まりです(笑)

エージェントと対話しながら、ブランド名「ReFUEL」、合言葉「日々の運動をエクストリームに」、対象は20代から30代のフィットネス愛好者、とだけ伝えました。かなり適当です。

すると、Lovartが自分で画像AI(このときはGPT Image 2)を選び、方向の違う3案をキャンバスに並べてきました。

追加条件から生成されたReFUELの3つの商品デザイン案

青い稲妻の案、白とオレンジの案、黒と蛍光グリーンの案。商品名を置いただけのモックアップより一歩深く、誰にどんな印象を与える商品なのかまで見えます。

蛍光グリーン案を選ぶと、ボトルの前面と背面、グリーンアップル・レモンライム・ベリーブーストの3つの味まで一気に展開されました。

ReFUELのラベルと3種類のフレーバーを展開した画面

ここまで約20分。頭の中の「こんな商品があったらいいな」が、会議に出せる形になりました。成分や法令表示、印刷用のデータは別に詰める必要がありますが、企画の最初の一歩としては十分すぎます。

TRIAL02商品が活躍する15秒の広告動画を作る

撮影なしで、15秒の広告動画ができた

次は、この商品の広告動画です。動画を作るAIには、ByteDanceのSeedance 2.5を選びました。ByteDanceが7月末に発表したばかりのモデルが、もうLovartの画面で選べました。

元の商品画像と、「スポーツの場面で商品が活躍する」という映像の方向を文章で渡すと、商品の寄り、競技の広い画、人物の動きが一連の流れとしてつながる動画が出てきました。

商品画像と作りたい映像の方向を伝えて、Seedance 2.5で生成した15秒動画。

さらに、海外企業の広告のような色味と、シネマカメラで撮ったような淡いボケ感の参考画像を1枚だけ足したのが、冒頭の動画です。インスタグラムで見るやつだ、これ(笑)

TRIAL03キャラクターの正面・側面・背面の設定画を作る

公開スキルで、VTuberの三面図が一発で出た

Lovartには、特定の制作手順をまとめた「スキル」が公開されています。ブランド、広告、SNS、EC、動画など目的別に選び、短い要望と参考素材を渡すだけで使えます。

妻が「VTuberやってみたいなー」と言っていたのを思い出し、キャラクターシートのスキルで「さくらピンク、ツインテール、ゲーム実況VTuber、元気な妹系、和風衣装」と頼みました。

なんと一発で、ドストライクな三面図が出てきました。最初はゲームのコントローラーを模した飾りが付いていましたが、消しゴムツールでなぞるだけで、すっきり消えました(左が最初の出力、右が手直し後)。

さくら色の髪と和風衣装を持つVTuberキャラクターの三面図

消しゴムなどの編集機能で整えたVTuberキャラクターの三面図

しかもLovartは、複数の素材をPSDとしてまとめて書き出せます。2Dモデルを動かすソフトのInochi2DもPSDの読み込みに対応しているので、動くVTuberモデルまでの道もつながっています。

TRIAL04集めておいた参考画像から、DATA WORLDのポスターを作る

Pinterestの参考画像から、映画のようなポスターへ

参考画像をPinterestに集めている人は多いと思います。僕も仕事でも趣味でも、とにかくピンを保存しているヘビーユーザーです。

LovartはPinterestと連携でき、自分のボードをそのまま画面に表示できます。使いたい画像を選んで「チャットに追加」を押すだけで、参考画像を制作中の会話に渡せます。

Lovartの管理画面にPinterestのポスターデザイン用ボードが表示された様子

写真を巨大な文字の形に切り抜く構成、紙の質感、少し褪せた色。そんなポスターを参考に選び、「DATA WORLDのポスターを作って」と頼んで出てきたのが、冒頭のポスターです。

おしゃれ……! 資料を集める場所と作る場所がつながっていると、アイデアが冷めないうちに形にできるんですよね。

REPORT

公式ハンズオン体験会に潜入。ByteDanceの研究チームも登壇

2026年8月28日、Lovartの公式ハンズオン体験会に参加してきました。基本操作の説明に加え、企業での活用事例、そしてSeedanceとSeedreamを開発するByteDanceの研究チーム「Seed」による最新モデルの紹介まで。かなり濃い内容です。

Lovartハンズオン体験会の会場の様子

ハンズオンでは、株式会社桜花一門の高橋さんから基本操作を教わりながら、参加者が自分のパソコンでLovartを動かします。参考画像や指示の渡し方、思った結果が出ないときの直し方を、その場で試していく形式です。Lovartからは体験用のポイントもプレゼントされました。太っ腹です。

僕は事前にかなり触っていましたが、会場には初めてLovartを触るクリエイターやデザイナーの方もいて、とても新鮮そうに画面を見ていました。

Seedance 2.5は「30秒の一発撮り」へ

ByteDanceのSeedチームからは、Seedance 2.5の進化が紹介されました。1回で作れる映像が15秒から30秒に延び、設定を保ったまま、指定した時間の部分だけを直せるようになっています(ByteDance Seed)。

会場では、光の反射、カメラワーク、人物の表情、ガラスが割れる動きを旧モデルと見比べたり、日本の居酒屋で複数人が割り勘をめぐって話す生成映像が上映されたりしました。

圧巻だったのは、Seedance 2.5で作られた架空の映画の予告編です。撮影もせず、CGの制作者にも頼らず、こんなクオリティができちゃうんかい! と、思わず言いたくなる作品でした。

ECの現場では「作る」より「直す」ほうが長い

いちばん印象に残ったのは、EC(ネット通販)の制作を手がける企業の話でした。

VOICE

ECでは、セールのたびにバナーの文言を変え、商品の背景や人物の表情も差し替える。ロゴが変われば過去の制作物も直す。新しく作る時間より、すでにあるものを直す時間のほうが長い。

株式会社ブランジスタソリューションEC制作2026年8月28日 Lovartハンズオン体験会(発言の要旨)

そこで使われていたのが、既存の画像を背景、人物、文字などの要素に分け、要素ごとに直せる「要素を編集」の機能です(Lovart公式ドキュメント)。レイヤーを保ったままPSDに書き出し、Photoshopに引き継ぐこともできます。浮いた時間で、もう一案提案する。速さを次の価値に変える使い方です。

若手社員が会社の理念ポスターを複数案作った事例も紹介されました。経験が浅いうちから、まず案を形にして並べられるのは、かなり大きいですよね。

まだまだ進化は止まらない

体験会では、翌月の大型アップデートも予告されました。寝ている間にAIが作業を終えてくれるような、クリエイターが仕事をまるごと任せられる方向の更新だといいます。さらに、知識がなくても長尺の動画を気軽に作れるアプリも登場予定とのこと(いずれも会場での説明)。

楽しみですね……!

EDITOR'S TAKE ── 編集長・小笠原はこう読む

Lovartは、AIを「作る」会社ではなく「使いこなす」会社だ

4つの作品を作り、体験会で話を聞いて、Lovartがここまで伸びた理由が、使う側の実感として分かってきました。

VIEW01

案が「横に並ぶ」だけで、AIとの仕事はこんなに変わる

4つの制作を通していちばん効いていたのは、キャンバスの見やすさです。ReFUELの3案が横に並んだ画面は、そのまま「どれが一番いいか」を話し合える状態でした。

チャットAIだと、案は上から下へ流れていきます。比べるには、画面をさかのぼるしかありません。キャンバスなら、選ばなかった案も残したまま次の方向を決められる。企画会議でホワイトボードに案を貼り出す感覚に近いです。

しかもLovartは、依頼を受けるといきなり描かず、まず制作の計画を立て、作業ごとに合うAIを選んで指示を書き分けます(Lovart公式「MCoT Engine」)。僕が頼んだのは「こういう商品を作りたい」だけ。どの画像AIを使うかは、Lovartが勝手に決めてくれました。AIに詳しくなくても、良い案を選ぶ目さえあれば戦える。ここが、1,000万人を超える人に広がった理由だと思います。

VIEW02

自前のAIを持たないから、いつも「最新」でいられる

Lovartは、画像や動画を作るAIを自社では開発していません。OpenAI、Google、ByteDanceなど、各社のAIを束ねて使えるようにしています。

これが使う側にとって、とても大きい。僕がSeedance 2.5を試したとき、ByteDanceの発表からまだ日が浅かったのに、もうLovartの画面で選べました。新しいAIが出るたびに別のサービスへ登録し直す必要がなく、慣れた画面のまま最新の力を借りられます。

創業者の陳冕氏は、ByteDanceで動画編集アプリCapCutの世界展開を担っていた人物です。体験会にByteDanceの研究チームがそろって登壇していたのを見ると、最新モデルをいち早くクリエイターへ届ける近さも、Lovartの武器なのだと感じます。

もちろん、他社のAIに頼る分、各社の方針や価格の変化の影響は受けます。それでも使う側からすれば、「どのAIが一番か」を追いかけ続けなくていいのは、大きな安心感です。

VIEW03

日本ではまだ「知る人ぞ知る」。だから今、触る価値がある

体験会には、初めてLovartを触るクリエイターやデザイナーの方もいました。世界では1,000万人を超える人が使っているのに、日本ではまだこれから。日本上陸の発表は2025年11月で、まだ1年もたっていません(PR TIMES)。

逆に言えば、今から触る人には大きな先行者の利点があります。ECのバナーを直す、企画の叩き台を作る、SNSの素材を何パターンも用意する。体験会で聞いた使い方は、どれも日本の会社で明日から試せるものでした。

まずは、頭の中にある「こんなものがあったらいいな」を一つ、キャンバスに置いてみてください。ReFUELも、ジム通いの中での思いつきから約20分で形になりました。

#BUSINESS#Lovart#生成AI#デザイン#動画生成AI#Seedance