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27歳の編集長、韓国3都市を10日間めぐる。観光客の次に、韓国が呼びたいのは「一緒に働く人」だった

AIの記事を書くたびに名前が出てくる国、韓国。DATA WORLD編集長の小笠原が、仁川・釜山・済州を10日間でめぐる「Korea Nomad Gateway」に飛び入りで参加しました。海の見える仕事場で働き、行政や起業家、世界中の参加者と食卓を囲んだ出張の記録と、旅先で聞いた話を韓国の統計で確かめた調査をまとめます。観光客は過去最多なのに若い人が出ていく地方の事情と、だからこそ「一緒に働く人」を世界から呼ぶ韓国の本気、そして帰国後に動き出した韓国企業との連携まで。

AIの記事を書いていると、やたらと韓国の名前が出てくるんです。

ChatGPTの有料会員の数は、米国に次いで韓国が世界2位。AnthropicがNAVERやSamsung SDS、LG CNSと組んでソウルに事務所を開いたのは、2026年6月です。韓国のスタートアップへの投資は2026年上半期に過去最高の8兆8,676億ウォンに達し、その半分以上がAI関連でした。

日本との距離も、どんどん縮まっています。2026年1〜8月に日本を訪れた韓国の人は742万人で、国・地域別の1位。逆に日本から海外へ出かけた人の行き先も、韓国が28%で1位です。海外進出を目指す韓国のスタートアップを支援するプログラムでは、応募した621社のうち163社が日本を目指していました。

DATA WORLDでも、台湾や韓国などアジアの動きは、いま追いかけているテーマの一つです。なのに私は、韓国に一度も行ったことがありませんでした。

そんなときに声をかけてくれたのが、韓国でデジタルノマドのコミュニティを運営するHoppersのダンカンさんでした。仁川・釜山・済州の3都市を10日間で回りながら、現地の行政や企業、世界中から集まった参加者とつながる企画がある、と。締め切り直前に「行きます」と返事をして、気づいたら韓国にいました。

この10日間をきっかけに、韓国の企業との連携が動き出しています。海の見える仕事場で働き、毎晩だれかと食卓を囲み、気づけば仕事の話が進んでいる。この記事では、その10日間を都市ごとに振り返りながら、旅先で聞いた話を韓国の統計でも確かめていきます。

3つの自治体が組んだ「Korea Nomad Gateway」

Korea Nomad Gatewayは、仁川広域市・釜山広域市・済州特別自治道が、それぞれの地域のスタートアップ支援拠点「創造経済革新センター」と組んで開いた企画です。2026年は9月6日から15日まで、各都市に3泊ずつ滞在しました。参加者は、米国、ロシア、スイス、コロンビア、台湾、日本などから集まった20人です。

01

DAY 1–3 仁川、悪口を看板にした旧市街と、若い人が集まる街

仁川国際空港に着いて、まずは宿のある松島(ソンド)へ。海を埋め立てて作られた新しい街で、高層ビルが立ち並んでいます。最初の3日間は、ここが拠点です。

夕方、会場の仁川グローバルキャンパスでオリエンテーションが始まりました。最初に、ダンカンさんがこう宣言してくれます。

ダンカン

私が最初から最後まで皆さんのサポートをします! これだけは言います。No one, left behind. 何があっても大丈夫です!

その夜はサムギョプサル。翌日は仁川中華街で本場のジャージャー麺を食べ、カフェで仁川のイノベーションを担当する方々と意見を交わしました。初日から、もう仕事の話です。

「魔界仁川」という名の会社

2日目の夕方に訪ねたのが「株式会社魔界仁川」です。旧市街の古い建物の階段を上がると、壁一面に催しのポスターが貼られた部屋がありました。地域づくりに取り組むクリエイターや事業者が集まる拠点です。

仁川の旧市街にある古い建物の入口。青い扉と古いタイルの壁の奥に階段が見え、住所表示に「개항로 94」とある
魔界仁川へ向かう、旧市街の建物の入口。

「魔界」は、もともとはネット上で仁川をからかう呼び名です。地元紙の京仁日報によると、2000年代の前半からネットの掲示板で広まった言葉で、実際の犯罪率は全国17の市・道のうち8番目と平均的でした。魔界仁川はこの呼び名をあえて名乗り、古い建物の改修や老舗との協業、祭り、若い起業家が学ぶ場づくりを民間で進めています。悪口を、そのまま街の看板にしてしまう。この発想、かなり好きです。

魔界仁川の室内。壁一面に催しのポスターが貼られ、奥に机と椅子が並ぶ
魔界仁川の室内。催しのポスターが壁を埋めていました。

近くでは、20〜30年使われていなかった建物を、女性たちが地域のカフェに作り変えた例も見ました。夕飯は、店の中に昔の写真や卒業アルバムを飾り、地元の人が思い出を語り合える場所にしているローストチキンの店です。古いものを、人が集まる理由に変えていく。仁川の旧市街には、そういう場所がいくつもありました。

タコスの食卓で、Codexの話

3日目の夜はタコスでした。同じテーブルの参加者が、さらっとこう言います。

VOICE
俺もいくつか開発に関わってたんだけど。GPT 5.5と、5.4だけだけどね。
同じテーブルの参加者Korea Nomad Gateway 参加者仁川でのタコスの食卓

OpenAIのプログラミング支援AI「Codex」の話です。驚いて聞き返したところで料理が来て、話はそこで中断。AIの最前線の話が、普通の食卓で当たり前のように出てくる。この企画の面白さを、早くも思い知らされた夜でした。

数字で見る仁川:3都市で唯一、20代が集まってくる

仁川は、ソウル・京畿と並ぶ首都圏の一部です。統計を見ると、3都市の中で仁川だけが、若い人を集めていました。

2010年から2025年までの20代の転入超過・転出超過を3都市で比べた折れ線グラフ。仁川は2025年に5,004人の転入超過、済州は2,198人、釜山は4,510人の転出超過
20代の国内人口移動(転入−転出)。仁川だけがプラスで、2025年は5,004人の転入超過でした。(韓国統計庁「国内人口移動統計」各年版を基にDATA WORLD編集部作成)

2025年、仁川には他の地域から来た人が出ていった人より3万2,264人多く、20代に限っても5,004人のプラスでした。人口は2015年末の約293万人から、2025年末の約305万人へ増えています。国際空港があり、松島には高層ビルが立ち並ぶ。若い人が集まってくるのも納得です。

そして、済州から出ていった人のうち、2,187人の行き先が仁川でした。今回めぐった3都市は、人の流れでもつながっています。

02

DAY 4–6 釜山、海の見える仕事場で働く

4日目の朝9時、ロビーに全員集合。光明駅から高速鉄道に乗り、昼過ぎに釜山に着きました。駅前の雑多なビルの並びは日本の地方都市によく似ていて、海外からの参加者も驚いていました。

仕事場は、海と港を見下ろす「釜山ワーケーションセンター」。窓際の席でPCを開くと、目の前に港が広がります。正直、ここで毎日働けたら最高です。

釜山ワーケーションセンターの窓際。大きな窓の外に海と港が広がり、窓際に椅子と観葉植物が並ぶ
釜山ワーケーションセンター。夜はここで交流会が開かれました。

夜の交流会には、釜山の行政の幹部の方や、最近釜山で創業したスタートアップ、ノマドワーカーが集まり、ピザを囲んで話しました。翌日は、日本のスタートアップ支援プログラムに向けた事業のプレゼンにも、韓国から臨みました。旅先でも、仕事はいつもどおり進みます。

釜山の窓際の机で、ノートPCとスマートフォンを前に作業するDATA WORLD編集長の小笠原海人
日中は、日本の仕事もいつもどおり進めました。

昼は釜山名物のミルミョン(冷麺)。ソウルにも冷麺はありますが、釜山のものは別物なのだそうです。

AIエンジニアに学んだ、「エージェント」の組み立て方

5日目の午後は、参加者のエンジニア、アンディさんによるAIの勉強会でした。

アンディさんは長くエンジニアとして働き、いまはAIエンジニア。いくつもの会社を経営し、企業の顧問も務めています。オープンソースのAIエージェント「Hermes」の開発にも、コードを書く側として関わっています。Hermesは米Nous Researchが公開しているAIエージェントで、使いながら仕事のやり方を「スキル」として覚え、会話をまたいで記憶を持ち、チャットアプリからも呼び出せます。

勉強会のテーマは、AIのモデルを、実際の仕事につなぐ「エージェント」の考え方です。アンディさんはHermesを実際に動かしながら、次の流れで見せてくれました。

  • モデルをつなぐ:どのAIモデルを頭脳に使うかを選び、エージェントにつなぐ
  • スキルを持たせる:よくやる仕事の手順を、AIが繰り返し使える「スキル」にする
  • 外のサービスとつなぐ:メールやチャット、データベースなど、普段の仕事の道具とつなぐ
  • 仕事を分ける:1つのAIに全部をやらせず、役割の違う複数のエージェントで分担させる
  • 合格ラインを決める:エージェントの仕事が良かったかどうかを測る、評価の基準を先に作る

質疑応答では、AIにどこまで記憶させるか、費用はどれくらいかかるか、安全性やプライバシーをどう守るか、といった質問が次々に出ました。参加者は、各国でリモートで働くエンジニアや起業家たち。質問がそのまま、自分の仕事にどう入れるかの相談になっていきます。

6日目は仕事の後に、広安里(クァンアンリ)の海でヨット。海の上から長い吊り橋と海辺の高層ビルを眺め、花火を見て、鍋で釜山最後の夜を締めました。

夕方の釜山の海。ヨットの船首に参加者が集まり、奥に長い吊り橋と高層ビルが見える
仕事の後は、参加者みんなでヨットに乗りました。

数字で見る釜山:観光客は過去最多。だから次は「働きに来る人」

釜山は韓国第2の都市です。外国人観光客は、2025年に364万人と過去最多を記録しました。コロナ前の2019年(約269万人)より、3割以上多い数字です。

一方で、人口は2015年末の約351万人から、2025年末には約324万人へ減りました。20代は2025年に4,510人の転出超過です。2024年には、韓国の研究機関・韓国雇用情報院の指標で、広域市として初めて「消滅危険」の段階に入りました。若い女性と高齢者の人口の比で測る指標で、釜山は0.49。0.5を下回ると危険とされます。

釜山と済州の2015年から2025年までの外国人観光客数と20代の転入超過・転出超過を上下に並べた棒グラフ。観光客はコロナ後に回復し、釜山は2025年に364万人で過去最多。20代は釜山で毎年転出超過、済州は2019年から転出超過
観光客(上)は戻りました。20代(下)の転出超過は続いています。(釜山観光公社、済州特別自治道観光協会、韓国統計庁を基にDATA WORLD編集部作成)

観光客は来てくれる。でも、住んで働く若い人が足りない。だから釜山は、働きに来る人を呼んでいます。企業の社員が釜山で働きながら滞在する「釜山型ワーケーション」には、2023年に約3,300人、2024年に約6,900人が参加し、延べ1万194人に達しました。報道によると、参加した会社のうち10社が、釜山への移転や支社・新会社の設立につながっています。働きに来た人の中から、会社ごと移ってくるところが出てきている。あの海の見える仕事場で働いてみると、その気持ちはよく分かります。

03

DAY 7–9 済州、世界から「働く人」を呼ぶ島

7日目は、金海国際空港から飛行機で済州へ。着いた瞬間の景色は、沖縄かと思うほどです。

済州の仕事場の窓際。大きな窓の外に済州市内の街並みが見え、手前の青いソファに座る人の後ろ姿と観葉植物
済州の仕事場「Jeju Island Work Lab」。窓から済州の街を一望できます。

ダンカンさんに聞いた、この企画のねらい

午後のオリエンテーションのあと、ダンカンさんの案内で旧市街を歩きました。看板を残したまま、中が空っぽの店も見えます。歩きながら、思い切って聞いてみました。

小笠原

この企画を通して、ダンカンさんがいちばん実現したいことは何ですか?

ダンカン

海外から来た人と、地域の企業や行政をつなぐことですね。済州も、10年前はものすごく人がいたんです。でも若い人たちがソウルやほかの地域へ行ってしまって、今はもう人がいない。空き店舗が増えて、そこを中国からの観光客が埋めている状態です。

ワーケーションが盛んになるのはいいことですが、それだけだと一時的な応急処置なんですよね。本当は、海外のスタートアップに来てもらって、ここを拠点として使ってもらうのがいちばん。そのためには、まず地元の企業や行政とのつながりが要る。だから、こういう企画に起業家を交えて、地域の良さを知ってもらい、ローカル企業や行政とつながって、韓国に進出する足がかりにしてほしいんです。

何か新しいビジネスのバリューが、グローバル単位で生まれたら嬉しいなと思っています。

済州の旧市街の通りで話すダンカンさん。画面に「済州が抱える深刻な問題」として、移住ブームのあと若年層を中心に年4,000人が流出、旧市街の空室率の悪化、ノービザ入国で中国人観光客が急増、といった説明が重なる
旧市街を歩きながら、済州の課題を説明してくれたダンカンさん。動画では、聞いた話をこうまとめました。
済州の青空の下で笑うダンカンさんとDATA WORLD編集長の小笠原海人
済州で、10日間を振り返るダンカンさんと私。3日ずつ違う地域を回る形は、今回が初めてだったそうです。

翌朝話を聞いた運営のロビンさんも、ビザや住まい、留学生の対応など、韓国のスタートアップと海外から来た人をつなぐ仕事を6年ほど続けているそうです。この企画は、観光ではなく「つなぐ」ための仕組みとして作られていました。

その日は朝から、海辺のコワーキング「Island Worklab Hamdeok」でヨガ。そのまま参加者に海へ引っ張っていかれて泳ぎ、仕事場も見せてもらいました。

済州の海辺の仕事場。海に向いた大きな窓の前に共用テーブルと椅子、ソファが並ぶ
済州の海辺の仕事場。こういう場所に、海外から働き手を呼ぼうとしています。

午後はバスで島を回り、自然公園や崖の上の絶景スポットへ。夜は海鮮です。最終日は、韓国のスタートアップの海外進出を支援してきた起業家に話を聞き、具体的な仕事の相談もして、参加者全員のお別れ会で10日間を締めました。

数字で見る済州:「済州暮らし」ブームと、若い人の行き先

ダンカンさんの話を、統計でも確かめてみました。済州は2025年、他の地域へ出ていった人が入ってきた人を4,273人上回りました。旧市街の中心部、中央路から南門ロータリーまでの調査では、242区画のうち43区画、17.8%が空いていました。

済州は、2010年代に「済州暮らし」がブームになった島です。2016年には、他の地域から来た人が出ていった人を1万4,632人も上回りました。都会を離れて、島でカフェを開く。韓国のドラマや本でも、よく描かれた暮らし方です。年齢別に分けてみると、意外なことが分かりました。

済州の転入超過・転出超過を全年齢と20代で比べた2010年から2025年の棒グラフ。2014〜18年の移住ブームで全年齢は6万2,859人の転入超過だが、20代は2,582人で4%。2023〜25年は全体9,321人の転出超過のうち20代が6,366人で68%
済州の移住ブーム(2014〜18年)の転入超過のうち、20代は4%でした。2023〜25年の転出超過では、20代が68%を占めます。(韓国統計庁「国内人口移動統計」各年版を基にDATA WORLD編集部作成)

ブームの5年間(2014〜2018年)に増えた6万2,859人のうち、20代はわずか2,582人、4%でした。済州の移住ブームは、若者のブームではなかったんです。そして2023〜2025年の3年間で出ていった9,321人のうち、20代が6,366人、68%を占めます。

出ていく先と理由も、統計に出ています。2025年に済州から他の地域へ移った3万2,609人のうち、56%にあたる1万8,275人が首都圏へ向かいました。移った理由でいちばん多かったのは「仕事」で、35.5%です(20代に限った数字は公表されていません)。

一方で、済州を訪れた外国人は、コロナで落ち込んだ2022年の8万6,444人から、2025年には224万2,187人へ、26倍に戻りました。観光客は戻ってきた。若い人が島に残るには、仕事が要る。だからこそ済州は、観光客の次に「ここで働く人」を、世界から呼ぼうとしています。ダンカンさんの話は、統計で見てもそのとおりでした。

04

帰国後 韓国が集めているのは、人数より「つながり」

帰国してみると、10日間はあっという間でした。初めての韓国が、ここまで実りの多い出張になるとは思っていませんでした。

振り返ると、3つの都市で聞いた話はどれも同じところに向かっていました。観光客は来てくれる。足りないのは、住んで働く若い人。だから外から「働く人」を呼びたい。では、それは人数で埋まるものなのでしょうか。

数字で見る、ノマドと人口:人数では桁が違う

規模の比較の横棒グラフ。釜山と済州で2025年に転出超過した20代は6,708人、韓国のデジタルノマドビザの発給は2024年1月から2026年5月の累計で743人、首都圏の外に住むビザ保有者は58人、Korea Nomad Gatewayの参加者は20人
出ていく若者と、来るノマド。人数では桁が1つ以上違います。(韓国統計庁、法務部の報道資料(2026年7月7日)、共感新聞を基にDATA WORLD編集部作成)

韓国のデジタルノマドビザは、2024年1月から2026年5月までに全国で743人に発給されました。釜山と済州の2つだけで、20代の転出超過は1年に6,708人。しかも、2026年5月時点で韓国に住むビザ保有者398人のうち、340人、85%は首都圏に住んでいました。ノマドまで首都圏に集まっていたんです。

そこで法務部は、18〜34歳が首都圏の外や人口が減っている地域に住む場合、年収の条件を1人あたり国民総所得(GNI)の2倍から1倍(2025年の例で5,241万ウォン)に下げ、滞在できる期間も最長2年から3年に延ばしました。

それでも、人数だけで人口を埋めるのは難しい。だから韓国の地方は、来た人を地元の企業や行政とつなぎ、そこから仕事や会社を生もうとしています。釜山型ワーケーションで「延べ1万人が来て、10社が移ってきた」のも、その成果です。日本でも、移住した人の数だけでなく、地域と関わり続ける人を「関係人口」と呼んで増やそうとしています。韓国の地方が集めようとしているのは、住民の数より、つながりの数なのだと思います。

私たちの場合:仁川から始まった、韓国企業との連携

そのつながりは、私たちにも生まれました。

帰国後、日本のオフィスでカメラに向かって笑顔で話すDATA WORLD編集長の小笠原海人
帰国後の報告。韓国企業と、日本語のコンテンツづくりでの連携を進めています。

仁川の行政の方々は、韓国企業の日本進出にとても積極的です。日本に進出したい韓国企業を、DATA WORLDで日本の読者に紹介してほしい。そんな相談をいただき、韓国の企業と、日本語のコンテンツづくりでの連携を進めています。

1人が10日間滞在しただけで、会社どうしの話が動き出す。人口の統計には1人も増えませんが、仁川と東京のあいだに、仕事の線が引かれようとしています。韓国の地方が目指している「つながり」が、どういうものなのか。それを、身をもって体験した10日間でした。

EDITOR'S TAKE ── 編集長・小笠原はこう読む

韓国の地方は、観光客の次に「一緒に働く人」を探している

10日間の滞在と、16年分の統計を並べて見えたことを、3つにまとめます。

VIEW01

観光客は数で来る。若い人は仕事で動く

釜山は観光客が過去最多の年に、20代が4,510人の転出超過でした。済州から出ていく人の理由のいちばんは「仕事」です。観光客はにぎわいを生みますが、20代が「ここで働き続けたい」と思える仕事は、観光だけでは増えません。だから韓国の地方は、観光客の次に、働きに来る人と、一緒に事業をつくる会社を呼ぼうとしている。釜山の海の見える仕事場も、済州の旧市街の空き店舗も、その受け皿です。

VIEW02

地方の企画に、行政が本気で乗っている

今回の企画は、3つの自治体が組み、それぞれの創造経済革新センターが現場を支えていました。交流会には行政の幹部が顔を出し、仁川の行政の方は、日本進出したい企業の紹介を自分から相談してくれる。国も、ビザの条件を地方ほど下げました。行政と民間が一緒になって、外から来た人を地元の企業につなごうとしている。この距離の近さは、日本の会社にも、私たちのようなメディアにも、大きなチャンスだと思います。

VIEW03

韓国と組むなら、今がいちばん面白い

日本を訪れる韓国の人は国・地域別で1位、海外進出を目指す韓国スタートアップの4社に1社は日本を見ています。AIへの投資も過去最高です。それなのに、日本で韓国の地方のビジネスの話を聞く機会は、まだ多くありません。食卓でAIの最前線の話が飛び交い、行政の方が、日本との連携を自分から相談してくれる。韓国の地方は、日本の会社にとって、思っている以上に近くて、入りやすい場所でした。

SOURCES ── 出典・参考

  1. DATA WORLD YouTube『27歳、AIスタートアップの10日間韓国出張録』
  2. 日本政府観光局『2025年 国籍別/目的別 訪日外客数(確定値)』(2026年8月19日)
  3. 日本政府観光局『訪日外客数(2026年8月推計値)』(2026年9月16日)
  4. 韓国文化体育観光部『日本人の海外旅行先1位は韓国』(2026年8月31日)
  5. Korea Times『Foreign tourist arrivals up 21.3% through July, driven by Japanese visitors』(2026年8月31日)
  6. 首相官邸『日韓共同記者発表』(2025年8月23日)
  7. Korea Herald『Korea ranks 2nd in paid ChatGPT subscribers』(2025年6月1日)
  8. Anthropic『Anthropic opens Seoul office and announces new partnerships across the Korean AI ecosystem』(2026年6月17日)
  9. ニューシス『上半期のベンチャー投資8.9兆ウォン、過去最大』(2026年8月19日)
  10. ユニコーンファクトリー『COMEUP Stars 2026、621社が応募』(2026年7月20日)
  11. 共感新聞『一都市の滞在を超え、都市をつなぐ広域ワーケーションモデルへ』(2026年9月5日)
  12. 京仁日報『仁川は本当に魔界都市なのか』(2021年4月30日)
  13. 韓国統計庁『2025年国内人口移動統計』(2026年1月29日)
  14. 韓国統計庁『2025年国内人口移動統計 市道・性・年齢別の純移動者数』(2026年1月29日)
  15. 湖南地方データ庁『2025年 湖南・済州地域の国内人口移動の現況』(2026年5月27日)
  16. 行政安全部『住民登録人口及び世帯現況』2025年12月
  17. 国家データ処『2024年人口住宅総調査(登録センサス方式)』(2025年7月29日)
  18. 済州特別自治道観光協会『月別観光客統計』2025年12月累計
  19. 釜山観光公社『2025年12月 外国人観光客の釜山訪問動向報告』(2026年2月10日)
  20. ヘッドライン済州『沈滞が長引く済州市の原都心商圏、店舗6か所に1か所は空いた』(2024年10月17日)
  21. 韓国雇用情報院『地域で見つけた解法、地域に合わせた雇用事業の成果と課題』(2024年6月28日)
  22. 釜山市報『2025年4号 釜山型ワーケーション』(2025年3月29日)
  23. メトロ新聞『釜山型ワーケーション、累計参加者1万人突破』(2025年2月24日)
  24. 法務部『デジタルノマドビザの所得条件を引き下げ、滞在期間を最長3年に』(2026年7月7日)
  25. 総務省『関係人口ポータルサイト』
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